デイバックに軽い荷物しか背負えなかったころ。大きなバックパックを背負い、正面の肩越しにザックが見える人に憧れた。そして、30リットル、40リットルと、少しずつ大きなザックを背負えるようになったとき、顔を上げると、頭にザックの雨蓋がコツンと当たる感触を初めて味わって、嬉しくてたまらなかった。
山では、足元の世界も、空に近い場所も見ていたい。大切な人を見つめるように、森や山の、顔や指先の表情まで見つめたいから。そのたびに、いつもコツンコツンと頭がザックに当たって、毎回「あ……(^_^;)」と思うけれど、それが小さなザックを背負っていた、あの頃の憧れを思い出させてくれる。
いつか もっと大きなザックを背負う日が来ても、この気持ちを忘れずに、森を、空を、光を、鳥を、見上げよう。
……とこんなことを書くのは、執筆中の山歩き本で、荷物の章に入ったからです(笑)。
Thanks to ランドネ & Photographer 小澤義人
Hollyford Track, New Zealand